水キムチは、大根やきゅうりなどの野菜を、塩味のある漬け汁で発酵させる韓国の漬物です。
唐辛子をたくさん使う一般的なキムチとは異なり、辛さは控えめ。
野菜だけでなく、発酵によって穏やかな酸味が生まれた漬け汁も一緒に楽しめます。
材料も作り方も比較的シンプルですが、水キムチは生の野菜を液体に浸し、一定時間室温に置いて作るものです。
そのため、
「常温に何時間置けばいい?」
「白く濁っても大丈夫?」
「酸っぱくならないのは失敗?」
「何日くらい保存できる?」
と迷う方も多いかもしれません。
発酵は、決められた時間を待てば、毎回同じように仕上がるものではなく、季節や室温、野菜の状態によって進み方が変わります。
この記事では、家庭で作りやすい基本の水キムチレシピと、食べ頃や保存の注意点をお伝えします。
水キムチのうれしいところ
水キムチは、野菜と漬け汁を一緒に味わえる発酵食品です。
野菜から食物繊維を取れるほか、発酵には野菜などに由来する乳酸菌が関わります。
発酵食品は、腸内環境との関わりが研究されていますが、家庭で作る水キムチに含まれる菌の種類や量は、材料や発酵条件によって異なります。
水キムチだけに特別な効果を求めるのではなく、野菜をおいしく食べる方法の一つとして楽しみましょう。
水キムチ作りで大切な5つのこと

水キムチを作るときは、次の5つを意識しましょう。
- 新鮮な野菜と清潔な道具を使う
- 漬け汁は加熱し、完全に冷ましてから注ぐ
- 野菜ができるだけ漬け汁に浸かるようにする
- 暑い日は常温に長く置かず、早めに冷蔵庫へ移す
- 時間だけでなく、香りや野菜の状態を確認する
発酵食品だからといって、常温に置けば必ず安全に発酵するわけではありません。
今回のレシピでは、常温に長時間置かず、短時間だけ室温に置いたあと、冷蔵庫でゆっくり味をなじませます。
基本の水キムチレシピ
材料|750〜800mlの保存容器1個分
< 野菜と果物 >
- 大根 …… 150g
- 白菜 …… 100g
- きゅうり …… 1本(約100g)
- りんごまたは梨 …… 50g
- 塩もみ用の塩 …… 5g
野菜と果物は、合計400g前後が目安です。
すべてそろわない場合は、大根ときゅうり、白菜とりんごなど、2〜3種類でも作れます。
< 漬け汁 >
- 水 …… 400ml
- 米粉または上新粉 …… 小さじ1(約3g)
- 塩 …… 10g
- 生姜 …… 10g
- にんにく …… 1片
お好みで、種を除いた赤唐辛子を1本加えても構いません。
塩は種類によって粒の大きさが異なるため、できるだけ計量スプーンではなく、はかりで量ってください。
米粉や上新粉を入れる理由
米粉や上新粉に含まれるでんぷんは、発酵中に分解されることで、乳酸菌などの微生物が利用できる糖のもとになります。
また、加熱した米粉が漬け汁にほどよいまとまりを与え、味わいをまろやかにする役割もあります。
海外で米粉や上新粉が手に入らない場合
海外では、次の粉で代用できます。
- Glutinous rice flour
- Sweet rice flour
- Sticky rice flour
- Mochiko
- Regular rice flour
今回のレシピでは、米粉と同じ小さじ1を使用します。
「glutinous」と書かれていますが、小麦のグルテンが入っているという意味ではなく、もち米から作られた粉です。
米粉が手に入らない場合は、plain flourやall-purpose flourを小さじ1弱使う方法もあります。
粉っぽさが残らないよう、1〜2分加熱してください。粉類を入れずに作ることもできますが、基本レシピとは漬け汁の風味や発酵の進み方が変わる場合があります。
作る前の準備

保存容器、包丁、まな板、ボウルは、洗剤でよく洗った清潔なものを使います。
野菜は流水でよく洗い、土や汚れを落としてください。傷んだ部分や変色した部分は取り除きます。
「野菜についている乳酸菌を残したいから、あまり洗わない方がよい」と思うかもしれませんが、汚れを残す必要はありません。
家庭では、必要な微生物だけを選んで残すことはできないため、まずは清潔な環境で仕込むことを優先しましょう。
作り方

大根は3〜4mm程度のいちょう切り、きゅうりは5mm程度の輪切り、白菜は食べやすい大きさに切ります。
りんごまたは梨は、芯を取り除いて薄切りにします。
野菜の厚みをそろえると、味が均一になじみやすくなります。
果物は崩れやすいため、塩もみには加えません。

ボウルに大根、白菜、きゅうりを入れ、塩5gを全体になじませます。
強くもみ込まず、上下を返すように混ぜ、そのまま20〜30分置きます。
野菜が少ししんなりして水分が出たら、ボウルにたまった水を捨てます。
塩気が強く感じる場合は、流水でさっとすすぎ、しっかり水気を切ってください。
鍋に水、米粉または上新粉、塩10gを入れます。
火にかける前によく混ぜ、中火にかけます。
鍋底から混ぜながら加熱し、沸騰したら弱火にして約1分加熱します。
火を止めたら、室温程度まで完全に冷ましてください。
温かい漬け汁を注ぐと、野菜の食感が変わるだけでなく、野菜などに由来する微生物にも影響します。

生姜は千切り、にんにくは薄切りにします。
清潔な保存容器に、塩もみした野菜、りんごまたは梨、生姜、にんにくを入れます。
完全に冷めた漬け汁を注ぎ、清潔なスプーンで軽く混ぜます。
野菜が漬け汁から大きく飛び出さないよう、スプーンで軽く沈めてください。
発酵によってガスが生じる場合があるため、容器の上部には少し余裕を残します。
ふたを閉め、直射日光の当たらない場所に置きます。
室温に置く時間は、次を目安にしてください。
- 室温20℃前後
-
2~3時間
- 室温20〜25℃
-
1〜2時間
- 室温25℃以上
-
1時間以内
- 室温28℃以上
-
仕込んだらすぐ冷蔵庫へ
これは完成までの時間ではなく、冷蔵庫へ移すまでの目安です。
酸味を早く出そうとして、暑い室内に長時間置かないようにしましょう。
家庭で行う常温発酵は、温度や時間によって状態が大きく変わります。
常温発酵の注意点については「果物麹の常温発酵は危険?」でも詳しく解説しています。

室温に置いたあとは、冷蔵庫へ移します。
半日から1日ほどたったら、清潔なスプーンで漬け汁を少量取り、香りと味を確認します。
作りたては塩味やにんにくの香りが目立ちますが、時間がたつと少しずつ味がなじみます。
酸味が弱くても、野菜に味がなじんでいれば食べ始められます。
水キムチの食べ頃

次のような状態になったら、食べ頃の目安です。
- 野菜に漬け汁の味がなじんでいる
- 塩味の角が取れている
- 漬け汁に穏やかな酸味がある
- 生姜やにんにくの香りがなじんでいる
- 野菜の歯ごたえが残っている
小さな気泡が見えたり、漬け汁が少し白く濁ったりする場合もあります。
ただし、泡が出なければ失敗というわけではありません。反対に、泡が出たことだけで安全な発酵と判断することもできません。
香り、味、野菜の状態を合わせて確認してみてくださいね。
水キムチの保存期間
完成した水キムチは、必ず冷蔵庫で保存します。
仕込んだ日を含め、3〜5日程度を目安に食べ切ってください。
取り分けるときは、毎回清潔な箸やスプーンを使用します。一度口をつけた箸を保存容器へ戻さないようにしましょう。
日がたつほど酸味は強くなり、野菜の食感もやわらかくなります。
保存期間内であっても、香りや見た目に違和感がある場合は食べないでくださいね。
水キムチに米粉を入れる理由
水キムチの発酵には、野菜などに由来する乳酸菌をはじめ、さまざまな微生物が関わります。
乳酸菌は、野菜や果物に含まれる糖を利用し、乳酸などを作ります。発酵が進むと漬け汁に酸味が生まれ、仕込んだ直後とは異なる風味へ変化していきます。
今回使う米粉や上新粉は、水と一緒に加熱すると、でんぷんが水を吸って糊化し、漬け汁にわずかなまろやかさを加えます。
また、でんぷんが分解されて生じる糖は、発酵に関わる微生物が利用できる成分の一つです。
ただし、米粉を入れれば必ず発酵が成功するわけではありません。
水キムチの仕上がりには、野菜の状態、塩分、温度、時間、衛生管理など、いくつもの条件が関係します。
よくある質問
自然発酵では、乳酸菌だけでなく酵母が関わることもあります。
発酵飲料の変化については「テパチェにアルコールはある?」もあわせてご覧ください。

まとめ|基本を守りながら変化を楽しもう
水キムチは、身近な野菜と果物で作れる、爽やかな発酵料理です。
材料や工程はシンプルですが、発酵食品だから常温に置いておけばよいわけではありません。
清潔な道具を使い、漬け汁を完全に冷まし、暑い日は早めに冷蔵庫へ移す。そして、決められた時間だけではなく、香りや野菜の状態を見ることが大切です。
翌日の浅い味わいと、少し酸味が出てきた数日後では、水キムチの印象も変わります。
目の前の変化を観察しながら、自分がおいしいと感じるタイミングを見つけてみてくださいね。

基本の水キムチに慣れたら、次は季節の野菜や料理へのアレンジも楽しめます。
以前、カフェで水キムチ冷麺をお出ししていた頃は、予約で売り切れるほど人気のメニューでした。
さっぱりとした酸味の漬け汁に、麺や蒸し鶏、野菜を合わせると、暑い日にも食べやすい一皿になります。
noteでは、その水キムチ冷麺をはじめ、夏野菜を使った4つのアレンジと、漬け汁まで楽しむ活用レシピをまとめました。
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発酵や暮らしのこと、
ひとりで抱えなくて大丈夫

BeachBum発酵教室主宰
神奈川の海辺在住
発酵歴9年、麹づくり歴8年
発酵のある暮らしと腸活の知恵を発信ゆらぎやすい毎日に寄り添う発酵メディア「Hakkology」を運営
