「麹って、何ですか?」
「何に使うの?」「体にいいって本当?」
発酵教室を始めてから、この質問を何百回と受けてきました。
味噌を手作りしたい、甘酒を飲んでみたい、塩麹に興味がある……
そう思って調べ始めたとき、必ず出てくるのが「麹(こうじ)」という言葉。
でも、麹菌なのか、麹そのものなのか、麹を使った食品のことなのか、混乱してしまう方がとても多いんです。
この記事では、発酵歴8年・製麹歴7年(2026年3月現在)の発酵教室講師として、麹の基本をできるだけわかりやすく整理してお伝えします。
種類や効果、日々の使い方まで「麹のある暮らし」への入口としてお役立てください。
麹(こうじ)とは何か
麹とは、米・麦・大豆などの穀物に麹菌(こうじきん)を繁殖させたものです。
少しかみ砕いて言うと、こういうことです。
麹菌:カビの一種(学術名:Aspergillus oryzae)。穀物の表面で育ちながら酵素を作り出す。
麹:麹菌を穀物に生やして育てたもの。米麹・麦麹・豆麹などがある。
麹を使った食品:味噌・醤油・甘酒・みりん・日本酒など。
「麹菌そのもの」と「麹菌を育てた穀物(=麹)」は別物です。
私たちが日々の料理で使うのは、後者の「麹」になります。
麹は日本の食文化に古くから根付いていて、味噌・醤油・日本酒・みりん・酢 どれも麹なしには生まれません。
日本醸造学会により「国菌」として選定されているほど、日本人の暮らしに欠かせない存在です。
麹の種類:米麹・麦麹・豆麹・醤油麹
麹には「麹菌を育てる素材」が何によるかによって、種類が分かれます。
米麹(こめこうじ)

蒸した米に麹菌を繁殖させたもので、最もポピュラーな麹です。
甘みが出やすく、甘酒・塩麹・甘味噌などに広く使われます。
スーパーや自然食品店でも乾燥タイプが手に入るので、発酵食品を手作りするならまず米麹から始めるのがおすすめです。
生麹と乾燥麹の違いについてはこちらの記事もぜひご覧ください。

麦麹(むぎこうじ)

麦に麹菌を育てたもので、麦味噌や一部の醤油に使われます。
米麹に比べてすっきりとした風味で、九州や中国地方の味噌文化に深く根付いています。
豆麹(まめこうじ)

大豆に麹菌を育てたもの。
愛知県の八丁味噌(豆味噌)に使われる麹で、旨みが非常に濃く、独特のコクと深みがあります。
醤油用麹(しょうゆようこうじ)

蒸した大豆と炒って砕いた小麦に麹菌を育てたもの。
これを塩水と合わせて「もろみ」とし、微生物の力でゆっくり発酵・熟成させていきます。
時間をかけて育ったもろみをしぼり、火入れすることで、あの深い旨みの醤油が生まれます。
麹が体にいい理由 ー 腸活・消化との関係
「麹は体にいい」とよく言われますが、その理由は麹菌が生み出す酵素の働きにあります。
麹菌は、100種類以上の酵素を生み出すことが知られています。
代表的なものが次の2つです。
アミラーゼ
デンプンを糖(オリゴ糖・ブドウ糖)に分解する酵素です。
甘酒が砂糖なしでも甘くなるのは、この働きによるものです。
生成されたオリゴ糖は、腸内の善玉菌のエサになります。
プロテアーゼ
タンパク質をアミノ酸に分解する酵素です。
塩麹でお肉がやわらかくなるのは、この働きによるものです。
また、腸内環境へのよい影響が報告されている研究もあります。
麹を日々の食事に取り入れることは、消化を助け、腸内環境を整えることにつながります。
酵素の働きについてはこちらの記事をご覧ください。

麹を使った発酵食品一覧

麹はさまざまな発酵食品の土台となっていて、それぞれ特徴や使い方が異なります。
代表的な発酵食品を一覧でまとめました。
| 発酵食品名 | 原材料 | 特徴 |
| 甘酒 | 米麹+炊いたお米+水 | 砂糖不使用の自然な甘み。飲む点滴とも呼ばれる |
| 塩麹 | 米麹+塩+水 | 食材をやわらかくし、旨みを引き出す発酵調味料 |
| 醤油麹 | 米麹+醤油 | 醤油のコクと麹の甘みが合わさった万能調味料 |
| 味噌 | 米麹・麦麹・豆麹+大豆+塩 (※豆麹の場合は大豆を麹化) | 麹の種類によって風味が変わる発酵調味料 |
| 醤油 | 醤油用麹+塩+水 | 長期熟成による深い旨みと香り |
| みりん | 米麹+もち米+焼酎(またはアルコール) | 自然な甘みとコクを加える調味料 |
| 日本酒 | 米麹+蒸米+水(+酵母) | 糖化とアルコール発酵が同時に進む発酵飲料 |
この中でも、日々の料理に取り入れやすいのは甘酒・塩麹・醤油麹の3つです。
どれも手作りでき、酵素が活発に働いている状態で使えます。
塩麹の作り方・使い方の完全版はこちら
醤油麹の作り方・使い方の完全版はこちら
私が感じる「麹のある暮らし」
麹を知ったのは8年前、重度の肌荒れにより甘酒を飲み始めてから。
最初は市販の麹を使って甘酒を作っていたのですが「自分で麹を作ってみたいな」と思い、製麹にチャレンジしたのが7年前です。
手作りの麹で作った甘酒を初めて飲んだとき、市販の麹で作った味の違いに驚きました。
甘みの質がやさしく、すっと体に入ってくるような感覚があったのを覚えています。
それから麹は、私の暮らしに欠かせないものになりました。
冷蔵庫には甘酒・塩麹と醤油麹。
季節ごとに味噌や醤油を仕込む。
難しく考えなくて大丈夫です。
まずは米麹をひとつ手に取ってみること。
それだけで、「麹のある暮らし」は静かに始まっていきます。
まとめ
麹について、あらためて整理しますね。
麹とは:麹菌を穀物に生やして育てたもの
種類:米麹・麦麹・豆麹・醤油麹など
体にいい理由:酵素が消化や腸内環境をサポート
取り入れ方:甘酒・塩麹・醤油麹から麹生活を始める
「麹とは何か」を知ることで、発酵食品がぐっと身近になります。
麹は、日本人が長い時間をかけて育ててきた食の知恵です。
まず一歩、やさしく取り入れてみてください。
発酵や暮らしのこと、
ひとりで抱えなくて大丈夫

発酵メディアHakkology運営/BeachBum発酵教室主催
神奈川の海辺在住
発酵歴9年、麹づくり歴8年
発酵教室や麹づくり教室で伝えてきた経験をもとに、現在は「作り方」だけではなく、その背景にある「なぜ?」まで楽しめる発酵を発信しています。
