「米麹って、自分で作れるの?」
そう聞かれるたびに「作れますよ」と即答してきました。
でも同時に「蒸し方だけは、妥協しないでね」とも。
発酵歴8年、製麹を続けて7年(2026年3月時点)。
たくさん失敗して、たくさん学んできた中で、確信していることがあります。
米麹作りは「蒸し」で9割が決まります
この記事では、自家製米麹の基本の作り方を、材料・道具から工程・失敗ポイントまで全部まとめました。
初めての方にも、これまで失敗してきた方にも、ぜひ読んでほしい内容です。
自家製米麹とは?市販のものとどう違う?

自家製米麹とは、蒸したお米に麹菌(こうじきん)を繁殖させて作る、味噌・醤油など、日本の発酵食品を作るときに欠かせない素材です。
市販の乾燥麹や生麹も同じものですが、自分で作ると、
- 原料(お米)を選べる
- できたての米麹の香りと風味が全然違う
- 麹菌が生きている状態で使える
という体験があります。
初めて自家製米麹ができたときの、あの甘くてやさしい香り。
あれは、市販のものでは出会えない感動でした。
自家製米麹に必要な材料と道具
材料
・ササニシキ …… 500g~1kg(使用用途に合わせて)
・麹菌 …… 米の重量の0.1〜0.3%
・水(浸水用)…… 米が浸かるくらい
個人的に「ササニシキ」が米麹つくりには適していると感じています。
種麹について
種麹は、麹菌の胞子を乾燥させた粉末です。
「もやし」と呼ばれることもあります。
オンラインや製麹専門店で購入できます。
私が長年使っているのはビオックの種麹ですが、最初はどのメーカーのものでも大丈夫です。
道具
| 道具 | メモ |
| 蒸し器(和せいろ、または鍋+蒸し板) | せいろがおすすめ。 中華せいろやステンレス製のものでも可。 |
| デジタル温度計 | 温度管理ため必須。 保温中の温度の確認がしやすいため、デジタルを推奨しています。 |
| ざる・ボウル | 下準備の浸水用 |
| 布(テトロン、さらしなど) | 蒸し布として、また麹を包んで保温するのに使う |
| 保温用の容器 | 湿度により水分が出るので、水切り付きの容器(レンジスチーマーや大きな水切り容器)がおすすめです。 |
| 電器ブランケット | 保温補助 |
以下へ私が愛用しているお道具をシェアしますね
米麹の作り方|基本の全工程
米を研いで、たっぷりの水に浸します。 浸水時間の目安は 春・夏:8時間、秋・冬:24時間。
(環境によっても異なるので、浸水中のお米の硬さを確認の上、調整してください)
浸水が終わったら、ざるに上げて1時間しっかり水を切ります。
ポイント:水切りが甘いと蒸した時に、米がベタつく原因になります。
💡ここが最重要ポイント。蒸しで9割決まります。
詳しくは後述の「失敗しないポイント」で深掘りしますが、 ここだけは先にひとこと言わせてください。
「蒸し」の工程で、麹作りは決まると言っても過言ではありません。
蒸し時間の目安は45〜60分 (1回15分を目安にチェックをしていきます)。
蒸し上がりの確認方法はねちょーっと伸びて「米粒を指でつぶして芯がないこと」。
外側はしっかり固く、中はもちっと柔らか。 この食感が、理想の蒸し米です。
蒸し上がった米を布の上に広げ、粗熱を取ります。
種切り(種麹をまく)のちょうどいい米の温度は35〜40℃。
熱すぎると種麹の胞子が死んでしまいます。 冷めすぎると麹菌が活動しにくくなります。
温度計でしっかり確認してから次のステップへ。
粗熱が取れた米に、種麹をまんべんなく振りかけます。
量の目安は米の重量の0.1〜0.2%(米500gなら種麹0.5〜1g)。
振りかけたら、両手で米をすくいながら、切るようにして混ぜ合わせます。 均一に混ざることが大切です。
ポイント:米の温度が30℃以下にならないよう手早く行います。
種切りが終わったら、布で包んで保温箱に入れます。
| 時間 | 米温度 | 対応内容 |
|---|---|---|
| 種切後〜24時間 | 37~42℃ | 切り返し(米をほぐす) |
| 24〜28時間 | 37~42℃ | 切り返し。白い菌糸が見え、甘い香りがしてきます。 |
| 28〜36時間 | 37~42℃ | 仕上げ管理 |
麹菌が活発になると、米が自分で熱を出し始めます(自己発熱)
米の温度が42℃を超えそうなときは布や保温箱の蓋を開けて温度を下げます。
白い菌糸が米全体を覆い、甘い香りがしてきたら完成です。
完成した米麹は、布を広げて風通しの良い場所で数時間乾燥させます。
保存方法:
冷蔵:2週間ほど
冷凍:3か月ほど(冷凍してもほぼ品質は落ちません)
最重要:「蒸し」が9割|失敗しないための核心

米麹づくりを7年続けてきて「なぜ失敗したか」を振り返ると、 原因のほとんどは蒸しの段階にありました。
なぜ「蒸し」がそんなに重要なのか?
麹菌は、米の中に菌糸を伸ばしながら育ちます。
この菌糸がしっかり根を張るためには、米の中が適度に柔らかく、適度に乾いていることが必要です。
- 蒸しが足りない(芯が残る) → 麹菌が米の内部まで入れない → 表面だけ白くて中は空洞のような麹になる
- 蒸しがベタつきすぎ(水分過多) → 米粒同士がくっついて菌糸が伸びない → 雑菌(細菌)が優先して繁殖しやすい
つまり、蒸しの状態が、その後の麹の出来を根本から左右するのです。
理想の蒸し上がりとは?
「外は固く、中はもちもち(外硬内柔)」がキーワードです。
指で米粒を押してみてください。
- 芯なく潰れる → OK
- 白い芯が感じられる → 蒸し不足。もう15分蒸す
- べちゃっとつぶれる → 水分過多。次回は水切りを長めに
また、蒸し上がった米はぱらりとしていて、米粒が独立していることが理想です。
塊になっている部分があれば、布の上で軽くほぐしてください。
蒸しでよくある3つのミス
① 蒸し時間が短すぎる
「もうそろそろかな」でやめてしまうパターン。 必ず指で芯を確認してください。
② 水切りが不十分なまま蒸す
浸水後の水切りが30分未満だと、米の表面に水分が多すぎます。蒸すとベタついた仕上がりになり、菌糸が伸びにくくなります。
③ 蒸し器の蒸気が安定していない
水の量が少ないと途中で蒸気が止まります。 蒸し始める前に水量を必ず確認し、途中で追い水できる準備も。
その他の失敗ポイントQ&A
まとめ|製麹7年で気づいたこと(2026年3月時点)
米麹を手作りしてから、私の発酵生活は大きく変わりました。
塩麹も、甘酒も、醤油麹も、全部自分の手で作れる。 それだけでなく、米を蒸す穏やかに流れる時間が、とても心地よくとても癒されています。
麹菌は、目には見えないけれど、確かに生きていることを、自己発熱により育っていることを感じています。
麹作りは一度たりともおなじ過程はありません。失敗も、振り返れば全部「研究結果」。
麹を作ってみたいけど、迷っている方がいらっしゃったら、ぜひ勇気を出してみてください。
その先には自分を輝かせてくれる世界が広がっていますよ。
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BeachBum発酵教室主宰
神奈川の海辺在住
発酵歴8年、麹づくり歴7年
発酵のある暮らしと腸活の知恵を発信ゆらぎやすい毎日に寄り添う発酵メディア「Hakkology」を運営
